福島隆史のCSRエピソード | 株式会社サステナビリティ会計事務所(SusA)

CSRコンサルタント福島隆史が、CSR報告書の読み方や考え方、 重要な用語の説明やエピソードを毎日更新します。 企業のCSRご担当者の方や、ステークホルダーの皆さまがCSR報告書について知見を深めていただければ幸いです。

*

多様性について一言

   

CSRの領域で、必ず出てくるテーマとしての「多様性」。
ダイバーシティ、とも言われているものです。

私はCSRコンサルをしているものの一人ですから、
お客さま企業グループ内で多様性取り組みを推進する立場。

でも、ほんと正直なところ・・、
自分が運営している会社では今、
私自身、多様性を推進しようとはしていません。

それって、どうしてでしょうか。

大企業は多様性を推進したほうがよいことが多いと思っていて、
小企業は多様性を推進しないほうがよいことが多いと思っているからです。

物議を醸してしまうようなことを言ってしまったような気がする・・。

なぜそう思うかをお伝えする前に、
ひとつ重要な視点を追加しておきます。
それは多様性って、従業員のためにあるのでは実のところない、ということ。
経営側からの要請として、
企業力を高めたい、そのための手法として推進している、っていうのが
本音のところだと思います。
多様性への取り組みを個々の従業員の側から評価するならば、
企業がそれを推進することは、たいていはありがたいことでしょう。

大企業と小企業で区分した意味するところについて、先へ続けてみます。
私は現況と、そこからの変化という点に着目しています。

大企業は、多くの社員が、そもそも画一的な働き方をしている。
ほぼ同じような環境下で働いてくれる優秀な方を集めることができている。
そうなっている状況が、前提となっている。

でもそれだと、自由な発想が芽生えにくい。
優秀な方が活きてこないことがある。
生活パターンの変化に画一的な働き方が馴染まなくなった時点で、
一部の方は退社せざるをえないかもしれない。
日本の従業員のみから優秀な方を選ぶより、外国人も含めて、
そこから将来の幹部候補生を選んだほうがいい。
そういったいろんなことを考えると、
多様性を推進していくほうがよい。

多様性の推進は、
個々の従業員の様々な都合を受け入れる、ということです。
都合は受け入れる側から見れば、わがままに近いようなことだってある。
それは和を乱す要因にすらなる。
しかし多様性を受け入れるような広くて大きな和が、
今では求められている。

では小企業ではどうか。

まず小企業は、明日をも知れない経営環境にある。
メンバー全員で苦楽を共にするぐらいの結束力がないと、
いとも簡単につぶれてしまう。
ゆえにまずは団結力を強くしていきたいのだけれど、
その第一歩ができていないことが実態として多いと思う。

小企業の多くは、営業も、業務も、総務も、銀行への資金調達回りも、
いわばスーパーマンのようになんでもこなす社長と、
数人~数十人のメンバーで構成されている。
社長のスーパーマン度合いで、企業の成長性が決まってしまうといっていい。
でも社長一人では、安定成長の軌道に乗せるのは難しい。
優秀で、熱烈な志を共有するメンバーでコア集団をつくりあげる必要がある。
そしてその中から、第二のスーパーマンを育て上げなければ、
安定成長どころか、小企業としての継続すらままならない。

いろんなメンバーが要請してくる多様性を広く認めるよう進めるとどうなるか。

築き上げようとしているコア集団に、さらに稼働が集中してしまう。
組織上のボリュームとして、コア集団の受入許容量はどうしたって小さい。
パンク破裂するみたいに、受入側のコア集団が崩壊してしまう。
そこが倒れるということは・・・、いずれ会社が倒れる、ということです。
そこまでいかないまでも、
コア集団内にいるわずかの、優秀かつ全力で取り組んでくれたメンバーが、
立ち去ってしまう一つの決定的要因にすらなってしまう。

企業と多様性との関わりは、
大企業とか小企業とかいう区分もひとつの考え方の区分に過ぎず、
結局のところ戦略的であるべきだと思っています。

多様性への取り組みは大切なことではあるけれど、
すべての組織にすべての時点で一律に同様の多様性を求めるのは、
きっとうまくいかない。

私はそんなふうに思っています。

 - CSRとは何か?

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