福島隆史のCSRエピソード | 株式会社サステナビリティ会計事務所(SusA)

CSRコンサルタント福島隆史が、CSR報告書の読み方や考え方、 重要な用語の説明やエピソードを毎日更新します。 企業のCSRご担当者の方や、ステークホルダーの皆さまがCSR報告書について知見を深めていただければ幸いです。

*

東日本大震災に関する開示

   

自分はこんなにすごいんだ、
っていう自慢。

結局のところ、CSRレポートなんて大企業の自慢話披露するための冊子、
なんでしょ?

いやいや、そうならないように努めています。

3年先の計画を発表して、
それができたかどうか、
すなわちPDCA開示となるよう努めたり。

できるだけ客観的な記述になるよう、
さまざまな外部の方のコメントをそのまま掲載するよう努めたり。

良い成果だけでなく、
ネガティブ情報についても開示しようと努めたり。

ところで今年、3月11日に発生した東日本大震災。

これについてCSRレポート内でどのような報告をするか、
企業ご担当者の皆さま方、大いに悩まれたはずです。

記載にあたっては、
大きくは次の3つの要素が考慮対象となったことでしょう。

1.被災者としての要素
2.支援者としての要素
3.2次的加害者としての要素

3.の2次的加害者って何?と言われそうですが、
企業がその本業をきっちり遂行していれば、
被害が発生せずに済んだはず、と思えるようなことに、
その企業が意図せざるとも加害者側で関わっていたりはしていませんか、
という視点です。

特定の某電力会社のことを誰しもすぐ思い出されるかもしれませんが、
なんらかの製品サービス供給を業としている限り、
ゆえに多くの企業が該当すると思いますが、、
自己評価として最高のスピードで供給を再開した、としても、
広い被災地のどこかで、
その製品サービス供給を適時適切に受け取ることができなかったがために、
辛い結果を受け止めざるをえなかった方がいらっしゃったかも、、
しれない。

この可能性を払しょくしえない限り、
企業はあまり意気揚々と自己の対応のすばらしさを、
語ったりはしないほうがよいように思います。

1.の被災者としての要素としては、
そもそも一流企業たるもの、
BCP(事業継続計画)において大震災対応に取り組んでいたはずで、
かんたんにいえば、「P」(プラン)があったはずなんです。

ですから、
Pに対してDがどうであったか、Cの視点からの反省を語ることは可能。

Pを作っていたけれども、実際に遭遇してみると、
全く機能できなかった手順、ステップがあったり・・・。

そもそも、こういった場合の責任者って誰だったっけ。
責任者の社長が出張で不在の場合、
専務?それともリスクマネジメント統括責任者?
その責任者は、どこまで決断してよかったんだったっけ。
何から指示すべきだったっけ。
従業員全員にただちに家に帰れ、と指示すべきか、
この会社の社屋に留まれ、と指示すべきか、
そういった判断のよりどころはどういったところなのか。

全社員と連絡を取り合うコミュニケーションツールが
機能している状況を前提とした対応計画となっていたけれども、
実際はほぼ「不通」となってしまった状況下で、
被災地現場の状況把握すらできず、さっぱりお手上げ状態だった、とか。

企業の東日本大震災とのかかわりとしては、
2.の支援者としての、
寄付金の大きさばかり注目されたりもしました。
あぁ、あのグループの社長って、そんなにぶんどっていたんだぁ、と、
その寄付金の前提となる個人資産の大きさにも注目がいったりなんかして。

でも上述したように、
東日本大震災に関して、
企業はいろんな側面でかかわっているのです。

私は、CSRレポートで記述する東日本大震災の内容、
今はまだ復旧のスタートラインにも立てていない被災地現状もあるのだから、
しゅくしゅくと、
途中経過報告しているぐらいが、
一流企業の対応としてはよいのではないかと、思っています。

まさか、特集として取り上げて、
被災地の写真など、週刊誌みたく貼りつけたりなどして、
あらあら自らの被災地支援取り組みを自慢げに語ってるよなぁと、
読者に感じさせてしまうような記事に、
ゆめゆめ構成されたりなどしてはいませんよね、、、。

そろそろ弊事務所に2011年の各社レポートが集まり始めています。
私自身、各社の東日本大震災に対するレポート内容、
数十社分ぐらいざっと読んでみたいと思っています。

CSRレポート、読者として読む価値のあるものなのか、
せめてその価値の芽を感じさせるぐらいのことはあるのか、
あるいはもしやすると、
ほんとに単なる大企業の自慢話レポートでしかないのか・・、
もっといってその前提となる企業体質なり姿勢そのものが、
そこから見えてくるような気がしています。

 - 誰も読まないCSR報告書

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
中計との連動?あるいは方針の浸透?

先週は無断のブログお休み、 失礼しました・・ お盆休みだったもので長距離ドライブ …

no image
つくる営みの中にこそ大いなる意義がある

私がCSRレポートの制作会社を経営してる理由? 答え) コンサル会社だけでは儲か …