福島隆史のCSRエピソード | 株式会社サステナビリティ会計事務所(SusA)

CSRコンサルタント福島隆史が、CSR報告書の読み方や考え方、 重要な用語の説明やエピソードを毎日更新します。 企業のCSRご担当者の方や、ステークホルダーの皆さまがCSR報告書について知見を深めていただければ幸いです。

*

Gはともかく、E・Sを質問してくる投資家は?

   

グローバル企業さまのIRご担当者から言われることの一つに、、

実際、海外にIRキャラバン行っても、
環境(E)やソーシャル(S)について質問が飛んでくるようなこと、
経験したことがない。
実際、そのような情報が必要だ、としてレポートに書かせているのは、
おたくらコンサルタントの陰謀なのではないの?っと。

すいません、少なくとも私は、陰謀など持っていません。
そもそも、全ての企業が一律に合冊レポートにすべきと思っていません。

冒頭のエピソードは、全てのグローバル企業IRご担当者から、今、私が聞かされていることであって、特定の企業IRご担当者から聞いている話ではありません。
ゆえに真実は、やはりそちら側にあるように思います。

CSRやESG業界のどんな偉い方々が、
ESGの開示充実を叫んでも、
さまざまに発行されるガイドラインが、
ESGの開示充実を求めても、
実際に読まれ、使われ、役立てられることがないのならば、
やはりいたずらに報告書の頁数を膨らませるのは、
資源の無駄以外のなにものでもない、とは
思いませんか。

機関投資家などが、
ESGを評価する部門を新設して、
そこから上がってくる評価を投資意思決定に利用する、
ということはあるでしょうし、
ますますその傾向は強くなっていくことでしょう。
ですが、そのことと、
合冊レポートにすべき、ということは、
一足飛びに合致することではありません。

ある有識者は、
ふつうの投資家を集めるからE・Sに質問が来ないのであって、
中長期目線で興味を持ってくれる投資家をあえて集めれば、
自ずとそのような情報は必要である、
といいます。

それは正論だと思います。

でも、そうであるならば、
あえてそのような中長期目線の新たな投資家を集めて説明しようとする会社の場合にだけ、
あるいはそのような会社になった際、or なろうとする際にはじめて、
合冊レポートを発行するのが、
効率的であると思います。

 - 統合報告書

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